Faculty of Economics
経営学特講(明学卒業生たちのリーダーシップ)2025 講演報告No.9

2026年1月20日

【ゲスト講演者】
 セガサミーホールディングス株式会社
 経営企画本部 IR・SR部 部長
 吉井 暢章 様(2003年法学部政治学科卒)

【講義の概要】
 2025年12月23日、セガサミーホールディングス株式会社(以下、セガサミー)の経営企画本部IR・SR部で部長をお務めになっている、吉井暢章さんにお越しいただき、IR・SR活動の実態についてご講義いただきました。セガサミーは、ゲームやアニメーション、パチンコ・パチスロなどの「遊び」を軸としたエンタテインメント企業です。現在は新事業の立ち上げとして海外でのオンラインカジノへの参入を計画しており、成長戦略として掲げています。
 講義では、まずIR活動の目的について説明していただきました。IRとは、企業が株主や投資家に対し、投資判断に必要な企業情報を適時・公平・継続的に提供する活動のことで、主に上場企業に求められています。IR活動が必要な理由として、積極的な情報開示や対話を通じて信頼を獲得すること、市場評価の適正化、経営に活用できる外部からの適切な意見収集、そしてそれらを経営陣へ共有する役割などが挙げられました。一方で、取り組み方を誤ると、かえって企業の信用を損なう可能性がある点にも言及されました。吉井さんは、IR・SRは任意の活動が多く、自主的に取り組みを行うことで企業価値の差別化につながる、ハイレベルな活動の一部だと語られました。
 次に、IR活動を取り巻く環境、外部関係者、社内関係者についてお話しいただきました。IR活動は、金融庁や証券取引所などの影響を受けており、企業の行動原則であるコーポレートガバナンス・コードや、機関投資家の行動原則であるスチュワードシップ・コードについても解説がありました。外部関係者としては、セルサイドアナリスト、証券メディア、議決権行使助言会社、そして機関投資家が挙げられ、企業との対話や株主提案を通じて経営に大きな影響を与えていることが説明されました。一方、社内では各事業を担うグループ会社に対して今後の方針をヒアリングしたり、社員向けに毎月IR報告書を作成したりするなど、社内外をつなぐ役割を果たしていることが語られました。
 さらに、セガサミーにおけるIR活動の実態についても紹介されました。株主・投資家とのミーティング回数は年々増加しており、ミーティングでは株価の捉え方や、5年後を見据えた成長指標についての議論が行われているとのことでした。また、社内向けにはIR・SR勉強会も実施していると説明されました。こうした継続的なIR活動の結果、同社は証券アナリスト協会による「ディスクロージャー優良企業」で最優秀企業を受賞し、ゴメス・コンサルティングによる「IRサイトランキング」でも金賞を受賞するなど、外部から高い評価を得ています。
 講義の終盤で、吉井さんは一つの会社で働き続けることのメリットとして、支え合える仲間の存在や、人脈が大きな武器になる点を挙げられました。また企業の成長性について、成長ビジョンが表面的に掲げられているのではなく、実態を伴っているかどうかはIR的な視点から分析できると説明されました。数字は基本的に噓をつかないため、企業の説明内容と有価証券報告書などの数値を照らし合わせることで、成長の実態を把握できると述べられました。

【講義の感想】
 今回の講義を通して、IR活動は企業が信頼を得るために非常に重要な役割を果たしていることを学ぶことができました。実際にセガサミーでは、社内外においてさまざまなIR活動が行われており、その成果として外部からの信頼を獲得し、高く評価されているということに気付きました。その点において、同社の取り組みは非常に優れていると感じると同時に、IR活動の重要性について改めて実感しました。
 また、質疑応答の中で「大企業に向いている人と向いていない人」についてお話ししてくださった際の、「会社の規模よりも、その会社の価値観に合っているかどうかの方が大切である」という言葉が特に印象に残りました。私自身、就職活動において何を優先し、どのような基準で企業を選べばよいのか分からず悩んでいたため、今後は企業風土と自分の価値観が合っているかを大切にして、企業を選びたいと考えるようになりました。さらに、「就活でどこを見られているか」という質問に対する回答として、相手の意図をくみ取った受け答えができるコミュニケーション力が重要であることを挙げられ、周囲と差別化できるスキルを持ち、それを磨き続けることの大切さを学ぶことができました。
 全体を通して、IR・SR活動は企業経営において極めて重要であり、資金調達や情報収集、さらには企業価値の向上のために欠かせないものであると実感しました。